派遣労働者の雇用継続を支援する助成金

派遣契約が解除された派遣労働者を継続雇用するケースや、派遣契約が終了した労働者を次の
契約先が見つかるまで教育訓練を受けさせるなどツナギとして活用できます。
解雇人物

労働者派遣契約が中途解除された場合には・・・


派遣契約と労働契約は別であり、派遣契約が解除されたからといって、即座に派遣労働者を解雇できるものではありません。

派遣会社は、
@ 派遣先と連携して派遣先の関連会社での就業のあっせんを受ける
A 派遣会社において他の派遣先を確保する
など派遣労働者の新たな就業機会を確保するよう求められます。

新たな就業機会を確保できないときは、まず休業等を行い、雇用の維持を図るよう求められます。



賃金又は休業手当の支払いが必要です。


派遣契約が中途解除されても、派遣労働者と派遣会社とは雇用期間満了まで労働契約は継続しており、派遣会社は賃金を支払う必要があります。

解雇については無効となります。
@期間の定めのない労働契約の場合→権利の濫用に当たる解雇は労働契約上の規定により無効となります。
A有期労働契約の場合→「やむを得ない事由」がある場合でなければ解雇はできません。この場合の「やむを得ない事由」は@の期間の定めのない労働契約の場合よりも厳しく判断されます

派遣労働者を休業させる場合は、休業期間中について、労働基準法に基づき、平均賃金の6割以上を休業手当として支払わなければなりません。

平成27年労働者派遣法の改正


T.労働者派遣事業の許可制への一本化
特定労働者派遣事業(届出制)と一般派遣労働者派遣事業(許可制)の区分を廃止し、すべての労働者派遣事業が許可制となりました。

U.労働者派遣の期間制限の見直し
いわゆる「26業務」への労働者派遣には期間制限を設けない仕組みが見直され、施行日以後に締結された労働者派遣契約に基づく労働者派遣には、すべての業務で、次の2つの期間制限が適用されます。


<1>. 事業所単位の期間制限
派遣先の同一の事業所における派遣労働者の受け入れは3年を上限とする。それを超えて受け入れるためには過半数労働組合等からの意見聴取が必要。
<2>.個人単位の期間制限
派遣先の同一組織単位(課)における同一の派遣労働者の受け入れは3年を上限とする。

V.キャリアアップ措置
派遣労働者のキャリアアップ支援が派遣元に義務付けられ、派遣先にも特定の派遣労働者に対する労働者募集情報の周知が義務付けられるなど、キャリアアップに関する事項が法令として定められました。

W.均衡待遇の推進
派遣元と派遣先双方において、派遣労働者と派遣先の労働者の均衡待遇確保のための措置が強化されました。

X.労働契約申込みみなし制度
派遣先が次に掲げる違法派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先が派遣労働者に対して、その派遣労働者の派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなされます。
(派遣先が違法派遣に該当することを知らず、かつ、知らなかったことに過失がなかったときを除きます。)
・労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
・無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
・期間制限に違反して労働者派遣を受け入れた場合(※)
・いわゆる偽装請負の場合
(労働者派遣法等の規定の適用を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、必要な事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受ける場合)

VI.その他の内容
<1>派遣元事業主が講ずべき措置
・労働者派遣事業報告書
・派遣元管理台帳
・派遣元責任者
・無期雇用の派遣労働者の募集に当たって留意すべき事項
・労働・社会保険の適用の促進
・適切な派遣元事業主の選択に資する情報の提供
・安全衛生に関する措置
・派遣元の責に帰すべき事由による休業
<2>派遣先が講ずべき措置
・派遣先管理台帳
・適切な苦情処理
・派遣労働者のキャリアアップ支援
・安全衛生に関する措置
・日雇派遣の原則禁止について


派遣から請負への転換は「偽装請負」問題の克服を。


「偽装請負」とは、実質は労働者派遣形態でありながら契約上は請負契約(業務委託契約)をしている場合をいいます。

請負人の労働者に発注者(注文者)の指揮命令下で労務を提供させながら請負(業務委託)を行うことは派遣法違反として捉えられます。


人材派遣業と業務請負の違いは、基本的に派遣先(注文主)と労働者との間に指揮命令関係があるかないかによって決定されます。
派遣先の指揮命令を受けて労働に従事するものは人材派遣に該当し、派遣先の指揮命令を伴わないものは業務請負に該当します。

注文主と労働者との間に指揮命令関係がある場合には、請負形式の契約により行われていても労働者派遣事業に該当し、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律)の適用を受けます。
 
ところが、この区分の実際の判断は、必ずしも容易でないことから、この判断を明確に行うことができるように
「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)が定められています。


【告示37号】をクリアする。



「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(告示37号)によれば、請負に該当するためには、まず第一に労働者を自らの指揮命令の下に業務従事されるものであることが必要となります。

具体的には、業務の進行方法に関する指示、出退勤等の労働時間の管理、労働者の配置等の決定などを注文主から独立して自ら管理しなければなりません。

第二に請負った業務を注文主から独立して処理しなければなりません。 具体的には、必要経費の調達、法律上の事業主として責任を負い、必要な機械・設備・資材などの調達、業務処理に必要な企画、専門的技術、経験を有していることなどがあります。

「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(告示37号) の要件を満たさなければ労働者供給事業になります。

要件を満たしている場合でも労働者派遣法の規定に違反することを免れるために故意に偽装されたもので、その事業の本当の目的が労働者派遣事業を業として行うことにある場合は、労働者派遣事業を行う事業主として派遣法が適用されます。

<適正な請負事業へのチェックポイント>

【1.業務遂行方法の管理関係

□受託者(請負事業者)が、受託業務に関する作業スケジュールの作成及び調整を自ら行い、従業員へ指示している。

□受託者が、受託業務に関する仕事の割り当て及び調整(欠勤・早退時等の調整)を自ら行っている。

□受託者が、受託業務に関する仕事の仕方、完成の方法、業務処理の方法を自ら定め、従業員に指示をしている。

□受託者が、業務の処理に関する技術的な教育及び指導を自ら行っている。

□受託者が、勤惰点検を自ら行っている。

□受託者が、作業員一人一人の評価(出来高査定)を自ら行っている。

【2.労働時間の管理関係

□注文主の就業規則をそのまま使用したり、又は適用を受けることはない。

□受託者が、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日等について、自ら決定している。

□労働者の時間外、休日労働について、受託者側で業務の進捗状況をみて自ら決定している。

□タイムカードや出勤簿は、受託者自らのものを使用している。

□受託者が、休暇や早退等についての承認を、自ら行っている。

【3.服務規律の決定・管理関係

□受託者の従業員に対して、注文主から直接、服務上の規律についての注意、指導を受けることはない。

□受託者の従業員に対して、注文主による同一の作業服、名札等の着用の義務付けはされていない(安全衛生管理等合理的な理由がある場合は除く)。

□受託者の従業員について、注文主の従業員である旨の身分証明書を使用していない。

□受託者は、注文主から直接、個々の従業員の人事考課を受け、能力不足等の指摘を受けることはない。

□受託者の従業員に対して、注文主の朝礼やミーティングへの参加が義務付けられていない。

【4.要員の配置決定・変更関係

□受託者が、受託業務を実施する従業員の指名、分担、配置等の決定を、自ら行っている。

□受託業務を実施する従業員の決定に関して、注文主による経歴書の提出指示及び直接面接が行われていない。


(注)以上の項目の1つでも該当しない項目があった場合、請負業ではなく労働者派遣事業
と判断される可能性があります。

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