介護業界の労務管理対策 |
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介護施設の労務管理の課題 | ||||||||||||||||||
介護施設で働く労働者の雇用形態は多様です。このため、統一的な就業規則の記載は困難です。 個々の雇用形態に応じた就業規則をつくる必要があります。 |
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介護労働者の働き方ポートフォリオ | ||||||||||||||||||
雇用ポートフォリオ
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待遇や労働条件は上の雇用形態別に設定します。 近年は施設の在宅化を目的にしたユニット型施設への移行が進んでいます。ユニット化とは施設の居室をいくつかのグループに分けて、それぞれをひとつの生活単位(ユニット)とし、少人数の家庭的な雰囲気の中でケアを行うものです。ユニット化すると職員の新たな再配置をする必要が出てきます。 |
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介護施設の要員規模 | ||||||||||||||||||
労働時間管理 | ||||||||||||||||||
■介護施設は24時間、365日対応です。これをカバーするにはシフト制(交替勤務制)を導入する必要があります。シフト制では、1日の勤務時間が8時間を超えることは必要不可欠な場合もあります。 そういう場合は変形労働時間制を採用する事で法定労働時間を超えて就業させることができます。 常勤ヘルパーの所定労働時間については、毎月、需要の変動に応じた所定労働時間の組替えが可能な1ヶ月単位の変形労働時間制の導入が有効です。 |
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介護施設における変形労働時間制の導入についてはこちらを参照。 ■厚生労働省告示(介護雇用管理改善等計画)において、介護労働者の雇用管理改善のためには、事業所における雇用管理責任者の選任及び当該責任者名の明示等が重要であるとされました。ここでいる介護施設の「雇用管理責任者」と、労基法でいうところの「管理監督者」は全く別概念ですが、これを混同しているところも見受けられます。 労基法第41条で規定されている管理監督者について、残業手当のカットを目的にその解釈を広く用いるという不適正な取り扱いが問題となっています。 ■利用者の都合により仕事がキャンセルされ、登録ヘルパーが休業することになった場合は、「介護事業者都合の休業」に該当する為、そのヘルパーに対して平均賃金の6割以上の額を休業手当として支払わなければなりません。 介護事業者は、利用者からの仕事のキャンセルに加えて、登録ヘルパーのキャンセルの場合の負担というリスクを負っています。 ■介護施設の宿直勤務許可は困難です。宿直勤務をさせるためには、通常の深夜勤務時間より低額な賃金が設定する為に労働基準監督署の許可が必要となりますが、介護施設は、宿直勤務と通常の深夜勤務の区別が事実上出来ないケースが多いからです。 このため、深夜労働の割増賃金の支給がさけられませんが、変形労働時間制を導入することで、法定時間外労働分は免れることになります。 |
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女性従業員への配慮 | ||||||||||||||||||
■介護サービス事業に従事する者の年齢構成のなかでは、 40歳未満が40%を占めており、男女の比率(女性約80%)を勘案すると、
40歳未満の女性は30%前後と推計されます。これらの女性職員の母性保護には、特段の配慮が必要になってきます。 「男女雇用機会均等法」は、女性が妊娠・出産後も働き続ける傾向が増加しているなかで、母性を保護し、女性が働きつつも安心して出産することができる条件を整備するため、妊娠中および出産後の女性の健康管理に関する規定を義務づけています。 また、 「母子保健法」においては、医師または助産師による保健指導や健康診査を講じることと定めています。 女性スタッフが圧倒的に多い職場では、 「母性保護」を労務政策のなかで明確に位置づけ、女性スタッフが安心して働き続けることのできる職場環境を整えることが定着率アップのカギになってきます。 育児・介護休業についてはこちらを参照。 |
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賃金・評価・処遇の改革 | ||||||||||||||||||
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非常勤職員の労務管理ポイント | ||||||||||||||||||
■介護施設・事業所では、パート職員など短時間労働の職員の比率が高く、日々の業務でも重要な役割を担っているため、パート職員が意欲的に能力を発揮して働けるかどうかが施設・事業所の経営上重要となっています。 パートタイマーの労務管理についてはこちらを参照。 |
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労働災害への対応 | ||||||||||||||||||
■一般に、介護作業は重労働であり、ホームヘルパーは中高年齢の女性が多い為、介護作業中にホームヘルパーがケガをするケースがよく起こります。また、介護作業を続けるホームヘルパーが、腰痛症や脛肩腕症候群などに罹患するケースもよく見受けられるところです。 こういった介護作業に起因するホームヘルパーのケガや傷病罹患が発生した場合、それが介護事業者責任の労災対象になるのかどうかが問題になる場合が多々有ります。 @ホームヘルパーの大半を占める登録ヘルパーは、その「労働者性の有無(=労働者か一人親方か)」が問題になります。 Aホームヘルパーが労働者に該当する場合は、その仕事に起因するケガや傷病罹患は全て介護事業者の責任になりますが、一人親方に該当する場合は、その仕事に起因するケガや傷病罹患は介護事業者の責任にはなりません。 ■登録ヘルパーの労働者性の有無の判断基準 登録ヘルパーの労働者性の有無については、その登録ヘルパーと締結した契約の名称(例えば「雇用契約」、「委託(請負)契約」)やその登録ヘルパーに支払った金銭が労災保険料の算定対象賃金に含まれているかどうか、という問題には関わりません。 労災認定を行なう労働基準監督署では、被災者の労働者性の有無は、その就労実態で判断されます。 次に掲げる要件の全てに該当する場合は、その登録ヘルパーは「一人親方」として労働者性が否定されます。 つまり、以下の要件のいずれかが非該当であれば、その登録ヘルパーは「介護事業者に雇用される労働者」ということになり、仕事に起因するケガや傷病罹患は、全て介護事業者の責任になります。 @登録ヘルパーが他の介護事業者に掛け持ち登録することが認められている。 A登録ヘルパーに仕事を受諾するか拒否するかの決定権が有る。 B仕事で使用する移動用自動車や介護用器具などは、全て登録ヘルパー自身が調達している(介護事業者が調達・貸与している物ではない)。 ■一人親方の登録ヘルパーに対する労災保険特別加入制度 一人親方の登録ヘルパーは委託事業主が加入する労災保険を使うことが出来ませんので、仕事中のケガなどに対して労災保険の適用を受けたい場合は、自ら労災保険に特別加入する必要が有ります。 労災保険に特別加入する場合は、介護作業従事者の特別加入者団体を通じてその加入手続きをしなければなりません。 ■登録ヘルパーの移動中の事故 ヘルパーが利用者宅への移動中に交通事故を起こした場合一人親方に該当する登録ヘルパーが、自身が所有する自動車で移動中に交通事故を起こした場合でも、介護事業者は原則としてその事故の相手方に対して運行供用者責任を負うことになります。 |
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介護事故のリスク管理 | ||||||||||||||||||
■介護事故とは、介護サービスの利用者宅における物品破損、利用者のケガ・誤嚥、違法行為(頼まれ注射、無資格者の薬投与など)による事故、利用者又はその家族の権利侵害(秘密漏洩、盗難など)といった介護作業に付随して発生する事故を指します。 ■また、一人親方に該当する登録ヘルパーが利用者宅で介護事故を起こした場合も、介護サービス提供契約の主体(当事者)はあくまでも介護事業者ですので、介護事業者がその介護事故の責任を負うことになります。 介護事故は、介護事業者にとって苦情処理における最大の懸案事項であり、一つ対応を間違うと非常に大きな経営リスクになるケースが多いです。 このため、迅速且つ丁寧な対応をするのは勿論のこと、こういった介護事故が起きないように、常日頃から介護作業従事者に対する教育訓練・指導を徹底して行なうことが重要です。特に、利用者宅へ訪問中のヘルパー1人で行なう入浴介助中の事故や誤嚥事故は要注意です。 ■介護事故を防止する為には、 @介護作業従事者同士のミーティングを出来る限り頻繁に行ない、各利用者の特徴(性格)や過去の事故事例などに対する情報の共有化を図る。 A事故には至らなかった「ヒヤリ、ハット事例」についても、業務日誌等への記録を徹底させる。 B介護作業マニュアルを整備し、雇入れ時及び定期的に教育訓練を実施する。 C利用者と締結する介護サービス提供契約において、利用者側の故意又は重大な過失による介護事故に対する免責、及び不可抗力による介護事故に対する免責などを明確に規定し、利用者側にその免責事由をしっかりと事前説明しておく。 |
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その他の助成金について | ||||||||||||||||||
その他の助成金についてはこちらを参照。 |
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